vol.17 火星全滅!! 地球はどうなる!?
ついに恐れていた事態が起こってしまった。今、全世界がパニックとなっているのだ!
新小笠原が壊滅した時点では、まだ「対岸の火事」程度に受け止められていたドラゴンの脅威。それが、実は島一つどころではなく、惑星一つを焦土と化すほどの力を持っていると判明したからだ。
火星の表面全体を紅蓮の炎が覆ったあの日、その嵐の中心には一体の竜の姿が確認された。地球からの望遠解像度では、それがどのドラゴンなのか定かではないが、少なくともタナトスではないことだけは確か。いわば“下っ端”ともいえる一体の竜でこれほどの大災厄をもたらすことができるのだ。
もしこれが、タナトスだったとしたら……!?
想像しきれない程の恐怖と不安を抱えてしまったのは記者だけではないようで、現在ISDAの各支社の周囲は大勢の人でごった返している。今にも暴動になりそうな勢いだ。全世界のメディアも「真実を公表せよ」と、ISDAに対して穏便でない追及の姿勢を露にしている。いまだ沈黙を守り続けているISDAだが、いつまでもこのままではいられないだろう。
これが終焉の始まり、あるいは始まりの終わりだとしたら、ひとつだけ書き残しておきたいことがある。それは、本誌記者こと私の“正体”についてだ。
単刀直入に述べれば、私の本業は雑誌記者ではない。読者諸氏の中にも、私が何故こんなにも機密情報を得られてきたのか、不思議に思っていた方もおられることと思う。
実は今も本業の件である現場に居合わせており、そこからほうほうの体で脱出してきたばかりのところだ。持ち出してきたのは、ただ一つのファイル。それは私たちにも存在を知らされていなかった、ISDAの秘蔵中の秘蔵のものらしい。
世界がどうにかなってしまう前に、いや、どうにかならないようにするためにも、今このレポートを受信している人たちには、このファイルの内容を公開し