vol.12 小笠原全島に避難勧告発令!!
月面都市での取材を終えて、記者は久しぶりに小笠原へと戻ってきた。しかし、ここもどうやら安住の地ではなかったようだ。島に降り立ってから間もなく、全島に避難勧告が出されたのである。どうやら、L3ベースを破壊したドラゴンが、この小笠原まで到達したらしい。いや、避難勧告の理由についてISDAから詳細な説明があったわけではないが、既に住民の多くが謎の飛行物体を目撃していることもあり、まず間違いはないと思われる。
タナトスから飛来し、ドラゴノーツ隊の宇宙ステーションを襲ったものの正体がドラゴンならば、次にISDA本部を目標に定めるのは、充分に考えられ得る事態だからだ。
だが、そのように推理を巡らすことも、もはや意味がなくなってしまったのかもしれない。今、目の前で起きている大破壊に対して、我々はあまりにも無力なのである。
ある場所では、地下街全域に渡って大火災が発生した。また別の場所では、公園全体が紅蓮の炎に包まれ、地面が溶岩の海と化していく。緊急出動したドラゴノーツ隊による消火活動も行われたものの、もはや焼け石に水——。一刻も早く島から脱出しなければ、ほぼ確実に命を失ってしまうという、最悪の状況に陥ってしまった!
それでも、これまでドラゴンとISDAにまつわる一連の事件を追ってきた者の使命として、記者はこのまま踏みとどまって取材を続行する。果たしてISDAは、この未曾有の危機を乗り越えることができるのか? そして、この記事が読者諸氏の目に触れる機会はあるのだろうか!? 願わくは、この送信が無事に届いていることを……。