vol.10 ジルアード突然の「乱心」 諸悪の根源は王子にあり!?
先日、地球と月を結ぶ宇宙航路にて起きた戦闘行為。公式な発表こそされていないものの、月面に滞在していたジルアード軍が地球へ帰還する途中のISDA・ドラゴノーツ隊を襲撃したものだと断定して間違いないだろう。それが、ドラゴノーツ隊・ライナ隊長とジルアード軍・ガーネット少佐の密会に端を発するものであることも、ほぼ確実のようだ。
ここで考えたいのは、はたしてドラゴノーツ隊への攻撃はガーネット少佐の独断専行であったのか?ということである。
結論から述べると、いくらなんでも現場の指揮官の一時的な感情により部隊を動かすなどという事態は、現実的にはほぼありえない。あるとしたら、それはコメディ映画の中くらいのものだ。
では、黒幕は誰なのか?
ここまで書けばもうお分かりだろう。ジルアード新首長国の第2王子にして、軍事・宇宙部門のトップに立つ人物、アーシム・ジャマールその人である。
ジルアードが現在のように宇宙開発や軍事の分野で力を伸ばした背景には、アーシム王子の強い執着心があった。第1王子の死後、王位継承権を持った彼の意向に逆らうものなどなく、ジルアードは宇宙への軍拡の道を歩んでいく。肝心の国王も、息子可愛さで黙認状態になっているとか。さらに王子は火星に巨大な宮殿を構えて、そこに自分の軍隊を構えて鎮座しているのだ。おまけに、宮殿内では常に侍女をはべらせているというから、なんとも羨ましい……いやいや、けしからんことである。
そんな王子にとって格好の「おもちゃ」が出現した。ISDAが所有する地球産ドラゴンである。最新鋭の兵器ともいうべきドラゴンを、王子が欲しないはずはない。ここ最近におけるガーネット少佐の一連の行動も、ドラゴン入手の目的を果たすためだったと考えれば納得がいく。その挙句の果てに出た実力行使が、先の戦闘行為だったというわけだ。
なお、この件に関してISDAが本格的にジルアードの調査を始めたとの情報もある。本紙ではまたしても関連データへのアクセスコードの入手に成功したので、「
girouard」のIDでログインしていただき、その成果を是非ともご覧いただきたい。
今回のデータは、ドラゴンのように見えるが、あまり見覚えのない種類ではある。これもISDAの所有するものなのか、それとも……? 興味は尽きないところだ。