vol.00 現代の恐怖! 謎の殺人鬼の正体は?
国際太陽系開発機構(ISDA)の本部が置かれている小笠原ターミナルシティ。
我々人類が本格的な宇宙進出を果たすこの時代で、まさに最先端というべき科学と情報の粋が集められたこの都市で、ある奇怪な事件が起こっている。
1か月ほど前から、この街に連続殺人鬼が出没するようになったのだ。あえて殺人“犯”ではなく“鬼”という表現を使ってみたのは、その手口がいずれもまるでホラー映画を見ているかのような残忍なものであるからだ。
被害者の体は見るも無残に切り裂かれ、血の海へと沈んでいく——。とても許しがたい悪魔の所業は毎夜のように繰り返され、既に犠牲者の数は十数名にも上っている。
これだけ派手な凶行が繰り返されながら、いまだに犯人の目星もついていない警察の対応の遅さには憤りを通り越して呆れざるを得ないところだ。
しかし、それは逆に、犯人が現場に一切の物的証拠や手がかりを残していないということでもある。
その上、被害者にも共通した特徴は見られず、年齢や性別、職業に至るまですべてがバラバラとあっては怨恨の線からの捜査も難しい。
もはや警察はお手上げ状態だといってもいいだろう。彼らに出来ることといえば、もはや夜間に出歩かないよう市民に呼びかけることくらいなのだ。
ここでふと考えてみる。この殺人鬼、本当に人間なのだろうか!?
いくら警察が無能だといっても、何らかの証拠らしきものはひとつくらい見つかるはずである。仮に人間ではなく、どこかから逃げてきた猛獣の類だとしても、体毛や唾液などが検出されるだろう。
現地では今、殺人鬼の正体は“怪物”だとの噂もあり、真偽は定かではないが複数の目撃情報が飛び交っている。腕は鋭い刃物のような形をしていて、一気に数十メートルも飛ぶ跳躍力を持つ——。
そんな怪物が実在するのなら、なぜ小笠原に現れ、蛮行を繰り返すのか? 謎を解く鍵の在処を探して、本誌記者は現地への決死の潜入レポートを試みる。
必ずや殺人鬼の正体を突き止め、報告するので、
次回以降の更新を刮目してお待ちいただきたい。