「エピソード:第00話」小野学監督インタビュー
「PVは自分が想定した以上の出来。100%満足しています」
地面に出来た血だまりと、力なく伸びる女性の腕。タイトルが出た直後のショッキングな映像が、不気味な事件の始まりを予感させる。
ドラゴンに対してミサイルで攻撃を仕掛ける戦闘機。監督が語る「怪獣映画のような形」の定番的なシチュエーションのひとつだ。
等身大のキャラクター同士が対決する場面でも、とてもスピーディーな動きを見せている。2Dアニメならではの迫力が味わえる場面だ。
うのまこと氏デザインによる美麗な女性キャラクターたち。小野監督の筆による2人もまた、独特のかわいらしい雰囲気を持っている。
ドラゴン同士の戦いは、スマートさよりもワイルドな迫力を重視して描かれている。大きな口を開けて噛みつく獰猛さに戦慄が走る。
監督が特に力を入れたという、ジンとトアが手を取り合うシーン。情感たっぷりの描写でPVを締めくくり、本編への期待を一層盛り上げてくれる。
——3月のイベントで上映した時の、お客さんからの反応はどのように受け止められましたか?
やはりオリジナルの作品で、初めて発表するものだったので、映像を流せてよかったなというのはありました。映像を見た方から「すごそうだね」みたいなことを言っていただいたので、PVを作った甲斐はあったなと思っております。
——今回のPVは、どのくらいの制作期間をかけて作られたんですか?
実作業は年明けから始まりまして、完成が3月に入ってからという形になります。その時点でシナリオは上がっていたんですけれども、本編のコンテ作業にはまだ入ってなかったので、僕がそのシナリオの中から「こういうシーンがあるだろうな」というところを先行してピックアップしてメ名場面集モのような形で作りました。尺に関しましては、あまり長く作るつもりでもなかったんですけど、いろいろ詰めていったら3分くらいになってしまって、思ったよりも盛りだくさんの内容になりました。
——本編の制作が先行して進んでいて、そこから抜粋したものを編集したわけではないんですね。
そうですね。だから、コンテやPVを元にしつつ、よりクオリティをアップしたカットが本編にも入っています。
——シナリオから場面を選ぶ際にポイントとされたところは?
全体的には序盤の山場のようなところをずっと入れつつ、主人公とヒロインの恋愛を縦軸にして、物語が宇宙まで出るという壮大な部分と、あとは「この作品はドラゴンが出てくるんですよ」というところをまんべんなく盛り込んだ形になっています。
——ドラゴン同士の戦いは3DCGで描かれていて、本当に迫力がありますね。
そこに関しましては怪獣映画のような形をめざしておりまして、より派手に、かっこよくを目標にして作っております。ドラゴンを3Dにしたのは、GONZOという会社が3Dに強いという読みがあってのことでして、本編でもガンガン動かしていこうと思っています。
——人間のキャラクターが動くシーンではアクション映画やホラー映画的なテイストも取り入れられているようですが。
そうですね。人間のアクションに関しましては、スリルだとかサスペンスだとか、ちょっとホラーチックだったりということも意識して作っております。僕はもともとアクションが好きなので、それもできれば入れていきたいなと思っていまして、入れるからにはきっちりやりたいなと思っていますので、その辺りはPVでも最初からの目的を果たせたかなと思っています。
——激しいアクションが続く中で、女性キャラクターのセクシーさにも目を奪われます。
そこはうの(まこと)さんの担当なのでノノ(笑)。実は、PVでは決定稿まで持っていけなかったキャラクターも仮のデザインで出ていまして、そこもPVならではの醍醐味ではないかと思います。
——ドラゴンのデザインも非常にかっこいいものになっていますね。
ドラゴンに関しては生物的な部分と、ある種メカニックみたいな部分を合わせ持った形でデザインをお願いしていまして、それに対して石垣(純哉)さんがものすごくノッてお仕事をしてくれましたので、すごくかっこいいドラゴンが上がってきました。周りにも評判がいいですね。
——お話に出たうのまことさん、石垣純哉さんをはじめ、豪華なスタッフが参加しているのもこの作品の見どころになっていると思いますが。
そうですね。キャラクターが当然魅力的に上がっていまして、ドラゴンのデザインもかっこよく、かつ怖く上がっていまして、現場で作画や演出に入ってくださっている方も一生懸命やってくださっています。僕も各話数の上がりを見させていただいて、「ここまで出来てるんだ、すごいなあ!」と、自分が監督なのにも関わらず思ってしまったりしているので(笑)、完成版もものすごい出来になるのではないかと思います。
——PVに関しての監督ご自身の満足度はいかがでしょう?
一発目の映像発表ということで、正直に言うとプレッシャーもあったんですけど、制作が頑張ってくれまして、ものすごく上手いアニメーターの方が集まってくれましたし、3Dのスタッフも最後まできっちりやってくれましたので、PVの出来に関しては100%満足しています。
——セリフと音楽がちゃんと入っているところも、見る側としてはうれしいポイントでした。
PVを作る前にキャストさんが、小野(大輔)さんと茅原(実里)さんが決まりまして、やるのであればぜひセリフも入れたいと。音楽のほうもかっこいいものを作ってもらいまして、そういう面でもPVは最大限頑張って、いいものが出来たかなと思っております。
——キャストさんの声を聞かれたときの印象はいかがでしたか?
どちらもイメージばっちりでした。トアに関しては、実際にキャストさんが決まるまで、自分の頭の中にあるイメージが固まりづらかったところがあるんですけど、茅原さんの声を聞いたときに、「こういうキャラクターなんだ!」という全体像が見えた瞬間がありましたね。
——PVのラスト近く、ジンとトアが手を重ねあうシーンでの絵のお芝居がとても素敵だなと思いました。
最後はあそこにしようということはずっと決めていまして、あれを最大限効果的に見せるために、ものすごく上手いアニメーターの方に無理を言ってお願いして描いてもらいました。
——「PVのここを注意して見ておくと、本編がより楽しめる」といったカットはありますか?
見どころはすべて入れているんですよ。先ほど言ったみたいに、ホラーテイストだったりとか、アクションのテイストだったり、恋愛や、ドラゴンの怪獣バトルみたいなところとか、すべてです。中でもやっぱり、キャラのアクションに関しましては、本当に出来るだけやっていきたいなと思っておりまして、ドラゴンバトルに関しましても、本当に怪獣映画さながらのアクションをやっていければなと思っております。3Dのドラゴンバトルの上がりを見ても、ものすごく迫力があって、「これはいけるんじゃないかな!?」と自分でも思ったくらいなんで(笑)。
——最後になりますが、本編へ向けての意気込みをお願いします。
PVは本当に自分が想定した以上の出来になったので、これに関しましては手ごたえを感じています。このままの流れというか、勢いで本編のほうを作っていけたらなと思っておりまして、今、順次制作に入っているところです。エンターテインメント性みたいな部分を重要視していますので、単純に「面白い!」というところは外さないように、頑張っております。